網膜色素変性症とは
網膜 色素 変性 症は、目の内側を覆っている網膜という組織に異常をきたす遺伝性、進行性の病気です。網膜は光を神経の信号に変える働きをします。そしてこの信号は視神経から脳へ伝達され、私たちは光を感じることができるわけです。網膜には色々な細胞が存在していてそれぞれが大切な働きをしていますが、網膜色素変性症ではこの中の視細胞という細胞が最初に障害されます。視細胞は目に入ってきた光に最初に反応して光の刺激を神経の刺激すなわち電気信号に変える働きを担当しています。視細胞には、大きく分けて2つの種類の細胞があります。ひとつは網膜の中心部以外に多く分布している杆体細胞で、この細胞は主に暗いところでの物の見え方や視野の広さなどに関係した働きをしています。もうひとつは錐体細胞でこれは網膜の中心部である 黄斑 と呼ばれるところに多く分布して、主に中心の視力や色覚などに関係しています。網膜色素変性症ではこの二種類の細胞のうち杆体が主に障害されることが多く、このために暗いところで物が見えにくくなったり(夜盲)、視野が狭くなったりするような症状を最初に起こしてきます。そして病気の進行とともに視力が低下してきます。ここで視力というのは、矯正視力(眼鏡レンズなどで、遠視、近視や乱視等を可能な限り補正して測定する視力)のことです。ちなみに、裸眼視力の変化は病気の進行や網膜の能力の変化の正確な目安にはならないと考えられています。網膜色素変性症といっても原因となる遺伝子変異は多くの種類があり、それぞれの遺伝子変異に対応した網膜色素変性症の型のあるため症状も多彩です。
この病気の原因はわかっているのですか
この病気は視細胞や、視細胞に密着している網膜色素上皮細胞で働いている遺伝子の変異によって起こるとされています。以前は原因となる遺伝子がわかっているのは網膜色素変性症の患者さん全体のごく一部でしかなかったのですが、最近の研究で日本人に多い遺伝子の変異が明らかになって、解析の精度とスピードもアップしてきています。現在までにわかっている原因遺伝子としては常染色体潜性(劣性)網膜色素変性症ではEYS、杆体cGMP-フォスフォジエステラーゼαおよびβサブユニット、杆体サイクリックヌクレオチド感受性陽イオンチャンネル、網膜グアニルシクラーゼ、RPE65、細胞性レチニルアルデヒド結合蛋白質、アレスチン、アッシャリン(USH2)などの遺伝子が知られています。なかでもEYS遺伝子に変異が見つかる例が比較的多いことがわかっています。常染色体顕性(優性)網膜色素変性症ではロドプシン、ペリフェリン(PRPH2・別名RDS)が主なものとされています。X連鎖性網膜色素変性症では原因遺伝子として網膜色素変性症GTPase調節因子(RPGR)とRP2の2種類が 同定 されています。今後さらに原因となる遺伝子変異が同定される見込みです。遺伝子の変異をみてひとりひとりにあったカウンセリングや治療を目標として、効率のよい 遺伝子診断 法が研究されています。また一部の患者さん(症状や眼科検査の結果からRPE65遺伝子の変異が疑われる患者さん)では、遺伝子診断(遺伝学的検査)を保険診療で行うことができるようになりました。検査で原因がRPE65遺伝子の変異と確定した場合は遺伝子治療の対象となる可能性があります。
この病気ではどのような症状がおきますか
視細胞の障害にともなった症状がでてきます。最も一般的な初発症状は暗いところでの見え方が悪くなること(夜盲)ですが、生活の環境によっては気がつきにくいことも多いようです。最初に、視野が狭くなっていること(視野 狭窄 )に気がつくこともあります。ひとにぶつかりやすくなる、あるいは車の運転で支障がでるといったことが気づくきっかけになります。視力の低下や色覚異常は、さらにあとから出てくるのが典型的です。しかし、コントラストの低い印刷物や罫線が読みづらいことを早くから自覚していることもあります。日常の生活環境でまぶしく感じる(羞明)、あるいは全体が白っぽく感じることもあります。この病気は原則として進行性ですが、症状の進行のはやさには個人差がみられます。また、さらに症状の組み合わせや順番にも個人差がみられ、最初に視力の低下や色覚異常で発見される場合もあり夜盲は後になる患者さんもいます。
難病と障害年金について
難病は、症状や進行の程度に個人差が大きく、外見からはその大変さが伝わりにくいこともあります。そのため、「こんな状態でも障害年金の対象になるのか」と不安に思われる方も少なくありません。
当事務所ではこれまで、数多くの難病を抱える方からご相談をいただき、障害年金の受給につながるようサポートしてまいりました。適切な診断書の作成や、日常生活における支障を丁寧に伝えることで、受給が認められたケースも多くございます。
以下では、実際に当事務所でサポートさせていただいた難病の受給事例をご紹介しております。ご自身の状況と重ねながら、少しでも参考になれば幸いです。
【横浜市】網膜色素変性症で障害基礎1級が認められた事例(加算分含め年額約120万円)
【横須賀市】網膜色素変性症で約3年遡って受給できた事例(障害厚生年金2級 約500万円遡及)
投稿者プロフィール

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当事務所は1990年に横浜で事業を開始し、相談件数は6000件を超える、相談者からの信頼の厚い事務所です。
相談者にとって最大限のお手伝いができるよう、精一杯取り組みますので、具体的な障害年金に関するご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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