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障害年金の「遡及請求」とは?
遡及請求(そきゅうせいきゅう)とは、本来ならもっと早く年金を受け取れていたはずの期間にさかのぼって、年金を請求できる仕組みです。
たとえば、障害認定日(※初診日から1年6か月後など)時点で、すでに障害状態に該当していたにも関わらず、申請が遅れた場合、最大5年分までさかのぼって年金を受給することが可能です。
この遡及請求は、障害認定日時点の診断書を提出できることが条件となります。
障害等級3級の対象者とは?
障害年金3級は、厚生年金に加入していた方が対象となる等級です(国民年金には3級はありません)。
以下のようなケースで認定されることがあります:
- 心臓ペースメーカー・人工弁などを装着している
- 人工関節やボルトを入れた部位に機能制限がある
- うつ病や脳卒中などで軽度の就労制限がある
- 糖尿病による軽度の視力障害や神経障害がある
3級の認定基準は「労働に支障がある程度の障害が継続していること」とされており、日常生活はある程度自立しているが、業務に制限がある状態が該当します。
障害年金3級の金額の目安(2025年現在)
障害年金3級は、報酬比例部分のみが支給され、最低保障額が設けられています。
■ 年額の最低保障額(2025年度)
- 623,800円/年(=約51,983円/月)
この金額は、厚生年金の加入期間が短い方でも最低限受け取れる額であり、実際の受給額は、加入年数や標準報酬月額によって増減します。
■ 一般的な受給額のイメージ
加入状況 |
年額(目安) |
平均月収25万円×20年加入 |
約90万円〜100万円/年 |
平均月収30万円×30年加入 |
約120万円〜130万円/年 |
さらに、配偶者や子どもがいる場合には加算(家族加算)がつく可能性もあります。
3級でも遡及請求できる?条件と注意点
障害年金3級で遡及請求をするには、以下の条件を満たす必要があります。
■ 1. 障害認定日が明確であること
障害認定日は、原則として初診日から1年6か月後、または症状固定日とされます。
この日を起点として「当時の障害の状態が3級に該当していたか」が問われます。
■ 2. 障害認定日時点の診断書が入手できること
遡及請求を成立させるには、障害認定日時点(過去)の診断書が必要です。
しかし、これが用意できないと、遡及請求はできません。
- 病院がすでに閉院している
- 記録が残っていない
- 医師が作成を断る
といったケースでは、遡及請求は現実的に難しくなる可能性があります。
3級で遡及請求した場合にもらえる金額の計算例
■ ケース1:年額90万円、3年分を遡及
90万円 × 3年 = 270万円の一括受給
■ ケース2:年額60万円、5年分を遡及
60万円 × 5年 = 300万円の一括受給
遡及分は一括で支給されるため、申請が認められれば数百万円単位の給付を受け取れるケースも少なくありません。
遡及請求で注意すべき3つのポイント
■ 診断書の作成に時間がかかる
障害認定日時点の診断書は、過去の状態を思い出しながら医師が作成するため、発行までに時間がかかることが多いです。
■ 書類に不備があると「返戻」や「却下」の可能性も
診断書や申立書の内容に不整合があると、「返戻(差し戻し)」や「却下」となり、時間と労力が無駄になる可能性があります。
■ 遡及できるのは最大5年まで
法令上、障害年金の遡及は請求日から過去5年までと決められています。それより前の期間に障害認定日があっても、5年以上前の分は時効により受け取れません。
社会保険労務士に相談するメリット
遡及請求は、通常の申請よりも提出書類が多く、制度理解が必要な手続きです。
社会保険労務士に依頼することで、以下のようなメリットがあります:
- 障害認定日時点の診断書の取得サポート
- 医師への説明資料の作成
- 診断書と申立書の内容の整合性チェック
- 返戻や不支給のリスクを低減
- 年金機構への手続き代行
一度の申請で大きな金額が動く「遡及請求」だからこそ、専門家の力を借りることで安心して申請が進められます。
まとめ:障害年金3級でも遡及請求で数百万円を受け取れる可能性あり
障害年金3級でも、条件が整えば最大5年分の遡及請求が可能です。
年額の目安は60〜120万円程度であり、3年〜5年の遡及が認められれば数百万円の支給につながるケースもあります。
ただし、過去の診断書の入手や制度の理解が必要なため、一人で手続きを進めるのは困難なこともあります。
「遡及請求ができるのか分からない」「自分の場合の金額を知りたい」といった不安がある方は、ぜひ一度、障害年金に詳しい社会保険労務士に相談してみてください。
障害年金とは

「障害年金」とは、公的な年金の1つで、病気や事故が原因で障害を負った方へ、国から年金が給付される制度です。障害者のための特別な手当と勘違いされている人もいますが、実は老齢年金と同じ公的年金です。
障害年金はきちんと保険料を納めている方の権利ですので、
障害年金を受け取っていないということは、65歳になっても年金を受け取っていないようなものです。
障害年金を受け取れる方は必ず申請することをお勧めいたします。
障害年金の基礎知識についてはこちら
障害年金でもらえる金額についてはこちら
対象となる傷病について
障害年金を受け取れるかどうか知りたい方は「かんたん!受給判定」をご利用ください。

いろいろな傷病を併発している場合など、実に様々な症状があります。
自分で判断できない場合は、専門家にご相談ください。
当事務所に相談するメリット
当事務所では、障害年金の無料相談を実施しております。
お電話での相談や、実際にお会いしての面談までは完全無料でご対応いたします。
障害年金の申請について、不安な方はお気軽にお問い合わせください。
また、有料での障害年金の申請代行も承っております。
ご自身での申請が難しい方は当事務所の申請代行サポートをご利用ください。
申請代行を依頼する際のサポート費用はこちら
社労士に依頼するメリット
①労力
体調が悪い方、働いている方にとっては障害年金の申請はなかなか大変な作業です。
社労士に依頼することで治療に専念できます。
②スピード
自分で申請すると半年ほど申請にかかってしまう場合もあります。
プロなら約3カ月で申請が可能です。
受給できるタイミングがその分早くなります。
➂受給可能性
障害年金の申請にはいくつかハードルがあり、本来受給できる方が不支給になってしまうことも…
プロならそのハードルを乗り越えることもできます。

Lineでのご相談
Lineでのご相談も承っていおります。お気軽にお問い合わせください。

ご相談いただく前にチェック
下記条件に一つでも当てはまる方は、障害年金の無料相談の対象外となります。
お問合せの前にご確認をお願い致します。
①年齢が65歳以上の方はこちら>> ②生活保護を受給中の方はこちら>> ③以下の方は年金事務所へお問合せ下さい ・年金事務所の書類に関する質問 ・老齢年金についてご相談されたい方 ・既に受給中の方 |
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当事務所では横浜市を中心に神奈川県全域で障害年金に関する幅広いサポート依頼に対応しております。
当事務所は1990年に横浜で事業を開始し、相談件数は6000件を超える、相談者からの信頼の厚い事務所です。
相談者にとって最大限のお手伝いができるよう、精一杯取り組みますので、具体的な障害年金に関するご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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