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「ファロー四徴症」とはどのような病気ですか
130年ほど前(19世紀末)にフランスの医師ファローによってその病態生理が提唱されました。 チアノーゼ をともなう 先天性 心疾患では最も頻度が高く、代表的な疾患です。心臓の発生の段階で、肺動脈と大動脈の2つの大きな血管を分ける仕切りの壁が体の前方にずれたために起こる心臓の異常で、以下の4つの特徴をもつ心疾患をファロー四徴症と呼びます。
(1)左右の心室を分ける心室中隔という仕切りの壁の大きな穴(心室中隔欠損)、
(2)全身へ血液を送る大動脈が左右の心室にまたがっている(大動脈騎乗)、
(3)肺へ血液を送る肺動脈の右室の出口(漏斗部)が肺動脈弁と一緒に狭くなる(肺動脈狭窄・漏斗部狭窄)
(4)左右の心室の圧が等しくなり、右室が肥大する(右室肥大)
ファロー四徴症で肺動脈閉鎖をともなうものを、極型ファロー四徴症と呼ぶこともあります。
ファロー四徴症は、生後まもなく心雑音で見つかることが多く、心室中隔欠損を通して右室から大動脈へ酸素が低い血液が流れ(「右—左短絡」という)、このためにチアノーゼ(爪や唇の色が紫色になること)を生じます。また乳児期には、激しく泣いた後などにチアノーゼと呼吸困難が強くなる発作(チアノーゼ発作/無酸素発作)を起こすことがあり、内服薬のβブロッカーで治療されることもあります。
治療の基本は心臓外科手術です。生まれてからチアノーゼが強い場合は、乳児期早期に鎖骨下動脈と肺動脈をバイパスするブラロック・トーシッヒ短絡(シャント)手術を行います。その後、生後1歳前後に人工心肺という装置を用いて心室中隔欠損閉鎖術と右室流出路再建術を行います。
この病気の原因はわかっているのですか
生まれつきの疾患で、心臓の発生初期の発生過程の異常が原因です。心臓の発生の過程で、二次心臓領域細胞や神経堤細胞が適切な場所に移動できないことから生じるといわれていますが、この原因は多因子で一つの原因では説明できません。
この病気ではどのような症状がおきますか
ファロー四徴症およびその類縁疾患では、一般に肺血流が少なくなるので、チアノーゼ(低酸素血症のために口唇や爪床が紫色になる症状)が特徴的です。右室から肺動脈への通路が、どの程度狭いかによって、チアノーゼの出現の時期と程度が変わります。肺動脈狭窄の軽い一部のファロー四徴症では、チアノーゼが見られず心不全症状(多呼吸、哺乳困難、体重増加不良)を呈することがあります(ピンクファロー)。典型的なファロー四徴症では、生後2ヶ月以後になると、この疾患に特有の「チアノーゼ発作(低酸素発作)」がみられることがあります。この発作は、赤ちゃんが泣いたり興奮したりして右心室の流出路がさらに狭くなって起こる場合と、入浴などで全身の末梢血管が開くことで肺に流れる血液が減少することで起こります。最初は哺乳後や入浴後やよく寝た後に見られることが多く、重くなると一日中起きるようになります。急に不機嫌になり、チアノーゼと呼吸困難が強くなり、高度になると意識がなくなったり全身のけいれんを起こすことがあります。哺乳後や入浴後に急に顔色が悪くなりぐったりする場合もあります。通常10分程度で自然に改善することが多いですが、長時間続くと死亡することもあり、注意が必要です。貧血があるとチアノーゼが目立たなくなる上に、このチアノーゼ発作を起こしやすくなるので注意が必要です。チアノーゼが出現して6ヶ月以上経つと手足の指先が円く変形して、太鼓のばちのような形になります(ばち指と呼びます)。ファロー四徴症では、歩き始める頃になると、歩き疲れて息が切れるとしゃがみ込む姿勢をとることがあります(蹲踞:そんきょ)。
ファロー四徴症では、通常は比較的大きな心雑音が聴取されます。ファロー四徴症と診断された後に、急に心雑音が小さくなったり聞こえなくなる場合は、右室から肺動脈への通路がより狭くなっていることが多く「チアノーゼ発作」を起こしやすくなります。
稀に未治療の方がおられ、強いチアノーゼを認めます。このような患者さんでは、感染性心内膜炎、血栓塞栓症、脳膿瘍などの合併症が見られます。
難病と障害年金について
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以下では、実際に当事務所でサポートさせていただいた難病の受給事例をご紹介しております。ご自身の状況と重ねながら、少しでも参考になれば幸いです。
【横浜市】幼少期にファロー四徴症の手術歴があるが、その後の人工弁置換術による障害厚生年金3級が認められた事例
幼少期のファロー四徴症からの人工弁で厚生年金が認められた事例
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当事務所では横浜市を中心に神奈川県全域で障害年金に関する幅広いサポート依頼に対応しております。
当事務所は1990年に横浜で事業を開始し、相談件数は6000件を超える、相談者からの信頼の厚い事務所です。
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